在留資格「介護」とは?取得要件・他資格との違い・就労範囲をわかりやすく解説
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在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を持つ外国人が、日本の介護現場で専門職として働くための在留資格です。更新回数の上限がなく、条件を満たせば家族帯同も可能なため、介護事業者と外国人材の双方が長期的な雇用・キャリアを考えやすい制度です。
本記事では、在留資格「介護」の定義、取得要件、養成施設・実務経験などの取得ルート、申請手続き、特定技能・技能実習・EPAとの違いを解説します。4つの受け入れルート全体を知りたい方は、外国人介護人材の採用方法まとめもあわせてご覧ください。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ700名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。
武藤 拓矢のプロフィール在留資格「介護」とは
在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を持つ外国人が、日本の公私の機関との契約に基づいて介護または介護の指導に従事するための在留資格です。
2017年9月に創設され、2020年4月からは介護福祉士資格を取得したルートにかかわらず対象になりました。在留期間は5年・3年・1年・3か月のいずれかで、雇用と活動内容が継続していれば更新を重ねられます。
- 国家資格が前提:介護福祉士として登録されていることが必要
- 長期就労が可能:在留期間の更新回数に制度上の上限がない
- 家族帯同を申請可能:配偶者・子は「家族滞在」を申請できる
- 専門職として就労:介護業務に加えて、他の介護職員への指導も対象
出典:在留資格「介護」|出入国在留管理庁、介護福祉士資格を取得した外国人への在留資格「介護」の付与|厚生労働省
在留資格「介護」の対象者と取得要件
在留資格「介護」を取得するには、介護福祉士の資格を持ち、日本の介護事業者などと介護・介護指導の業務に就く契約を結ぶことが基本です。
介護福祉士資格を取得・登録している
在留資格の申請では、介護福祉士として登録されていることを介護福祉士登録証の写しで示します。資格の取得ルートは養成施設だけに限られません。
- 養成施設ルート:介護福祉士養成施設を修了して資格を取得する。2026年度までの修了者には国家試験に関する経過措置があり、2027年度以降の修了者は国家試験合格が必要
- 実務経験ルート:原則3年以上かつ540日以上の介護実務と実務者研修を経て、介護福祉士国家試験に合格する
- EPAルート:EPA介護福祉士候補者として就労・研修し、受験要件を満たして国家試験に合格する
- 福祉系高校ルート:所定の課程を修了し、適用される受験要件を満たして国家試験に合格する
実務経験ルート
特定技能や技能実習などで介護現場に就労している外国人も、実務経験ルートで介護福祉士を目指せます。
受験には、原則として従業期間3年以上(1,095日以上)と従事日数540日以上の両方が必要です。実務者研修を修了して国家試験に合格し、介護福祉士として登録した後に在留資格「介護」へ変更します。
介護事業者などと雇用契約を結んでいる
契約先は日本の公私の機関で、業務内容が介護または介護の指導に該当している必要があります。報酬は、同じ業務に従事する日本人と同等以上であることが求められます。
従事できる介護業務と採用するメリット
在留資格「介護」では、施設・通所・訪問系サービスの介護業務と介護の指導に従事でき、介護事業者は国家資格を持つ人材を長期雇用しやすくなります。
- 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホームなどの施設介護
- デイサービスなどの通所介護
- 訪問介護、訪問入浴介護などの訪問系サービス
- 身体介護、生活援助、記録、申し送りなど介護に付随する業務
- 介護職員への技術指導や助言
なお、訪問系サービスに従事できるのは在留資格「介護」だけではありません。技能実習は2025年4月1日、特定技能は同年4月21日から、研修・実務経験・同行訓練・事前説明などの条件を満たす場合に訪問系サービスへ従事できるようになりました。
介護事業者が採用するメリット
介護福祉士資格を持つ人材を採用できるため、専門性と長期定着を前提に人員配置や育成計画を立てやすいことがメリットです。
- 国家資格者を配置できる:介護の知識・技能を確認済みの人材として業務を任せやすい
- 長期雇用を設計しやすい:更新回数の上限がなく、5年を超える雇用も検討できる
- 業務範囲が広い:施設介護から訪問介護、指導業務まで配置を検討できる
- 生活基盤を築きやすい:家族帯同を選択できることが、中長期の定着につながりやすい
一方、介護福祉士資格を持つ外国人は採用候補が限られます。すぐに有資格者を採用する方法だけでなく、特定技能人材の国家試験受験を支援して在留資格「介護」への移行を目指す方法も検討できます。
出典:外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について|厚生労働省
在留資格「介護」と特定技能・技能実習・EPAの違い
在留資格「介護」は介護福祉士資格を前提に更新回数の上限なく働ける一方、特定技能・技能実習・EPAは目的、取得要件、在留上限、家族帯同などが異なります。
| 比較項目 | 在留資格「介護」 | 特定技能1号 | 技能実習 | EPA介護福祉士候補者 |
|---|---|---|---|---|
| 制度の位置づけ | 専門的・技術的分野の就労資格 | 人手不足分野の即戦力確保 | 技能移転による国際協力 | 二国間の経済連携 |
| 主な対象・要件 | 介護福祉士資格の登録者 | 技能試験・日本語試験等の合格者、または免除対象者 | 介護職種の技能実習計画に基づく実習生 | インドネシア・フィリピン・ベトナムの候補者 |
| 在留期間 | 5年・3年・1年・3か月。更新回数の上限なし | 通算5年が原則 | 1号から3号まで最長5年 | 候補者は原則4年。国家試験合格後は「介護」へ移行可能 |
| 家族帯同 | 配偶者・子が「家族滞在」を申請可能 | 原則不可 | 原則不可 | 候補者段階は原則不可 |
| 訪問系サービス | 従事可能 | 研修・実務経験などの条件を満たせば可能 | 研修・実務経験などの条件を満たせば可能 | 受入れ調整機関の就労・研修計画に従う |
| 介護福祉士取得後 | 同じ在留資格で継続就労 | 在留資格「介護」へ変更可能 | 要件を満たせば特定技能等を経て「介護」を目指せる | 在留資格「介護」へ変更可能 |
長期雇用と国家資格者の採用を優先するなら在留資格「介護」、資格取得前の人材を即戦力として採用するなら特定技能1号が主な選択肢です。技能実習は2027年4月1日から育成就労制度へ移行する予定のため、新規受け入れでは施行時期と経過措置も確認してください。
在留資格「介護」の申請手続き
申請では、介護福祉士登録証、雇用条件を示す書類、勤務先の概要資料などを準備し、本人の状況に応じて認定・変更・更新の手続きを行います。
本人の状況に合う申請を選ぶ
- 海外から新たに呼び寄せる:在留資格認定証明書交付申請
- 留学・特定技能などから切り替える:在留資格変更許可申請
- 在留資格「介護」で働き続ける:在留期間更新許可申請
主な提出書類を準備する
申請の種類や勤務形態によって必要書類は異なります。代表的な書類は次のとおりです。
- 申請書と写真
- パスポートと在留カード(国内での変更・更新時)
- 介護福祉士登録証の写し
- 雇用契約書や労働条件通知書など、労働条件を明示する書類
- 勤務先の沿革、役員、組織、事業内容などを示す資料
- 派遣形態の場合は、派遣先での活動内容を示す資料
地方出入国在留管理官署へ申請する
外国人本人、受入れ機関の職員、申請取次者など、手続きごとに認められた人が申請します。審査期間は申請時期や内容で変わるため、入社日・在留期限から余裕を持って準備してください。
特定技能からの資格変更を見据えた採用・定着支援については、特定技能「介護」の受け入れ支援で案内しています。
申請・更新・雇用時の注意点
在留資格「介護」の申請・更新では、資格の登録、実際の業務内容、報酬、所属機関の届出を契約と実態で一致させることが重要です。
- 介護福祉士の登録を確認する:国家試験の合格だけでなく、登録証の交付状況まで確認する
- 業務内容を一致させる:契約書と実際の担当業務を介護・介護指導の範囲に合わせる
- 報酬を適正に設定する:外国人であることを理由に日本人の同等職より低い報酬にしない
- 在留期限を管理する:更新準備を早めに始め、在職・報酬・納税などの書類をそろえる
- 転職・退職時の届出を忘れない:所属機関の変更や契約終了に伴う届出の要否と期限を確認する
- 家族帯同を自動許可と考えない:配偶者・子は別途「家族滞在」の審査を受ける
介護福祉士資格があっても、担当業務や雇用条件が在留資格の活動内容と合わなければ、変更・更新の審査へ影響する可能性があります。個別事情で判断が分かれる場合は、地方出入国在留管理官署や申請取次の専門家へ確認してください。
よくある質問(FAQ)
- 在留資格「介護」とは何ですか?
- 介護福祉士の資格を持つ外国人が、日本の公私の機関との契約に基づいて介護または介護の指導に従事するための在留資格です。在留期間を更新しながら長期就労できます。
- 在留資格「介護」と特定技能の違いは何ですか?
- 在留資格「介護」は介護福祉士資格が前提で、更新回数の上限がなく家族帯同も申請できます。特定技能1号は試験合格者などが対象で、在留期間は原則通算5年、家族帯同は原則認められません。
- 在留資格「介護」は家族を呼び寄せられますか?
- 配偶者と子は「家族滞在」を申請できます。ただし自動的に許可されるわけではなく、扶養関係や生活費などを含めて個別に審査されます。
- 留学生から在留資格「介護」へ変更できますか?
- 介護福祉士資格を取得・登録し、介護事業者などと対象業務の契約を結んでいれば、留学からの在留資格変更を申請できます。養成施設修了者に適用される国家試験の経過措置は修了年度によって異なります。
- 訪問介護に従事できますか?
- 在留資格「介護」では訪問介護に従事できます。また、技能実習生と特定技能外国人も、研修や実務経験、同行訓練など所定の条件を満たす場合は訪問系サービスに従事できます。
- 実務経験から在留資格「介護」を取得できますか?
- 取得できます。原則3年以上かつ540日以上の介護実務と実務者研修を経て介護福祉士国家試験に合格し、資格登録後に在留資格「介護」への変更を申請します。
在留資格「介護」は長期雇用を前提に検討する
在留資格「介護」は、介護福祉士資格を持つ外国人を国家資格者として長期雇用したい介護事業者に適した在留資格です。養成施設だけでなく実務経験やEPAなど複数の資格取得ルートがあり、特定技能からの移行も可能なため、採用時は資格登録、業務内容、日本人と同等以上の報酬を確認し、本人の在留状況に合った申請を進めましょう。
外国人介護人材の採用から資格取得支援、在留資格変更、定着までを一体で設計したい場合は、エドミールへご相談ください。

