特定技能「林業」分野での外国人材受け入れガイド|制度概要と導入ポイント
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日本の林業では、深刻な人手不足と高齢化が進行し、現場の担い手確保が急務となっています。2024年3月に特定技能制度の対象分野へ「林業」が追加され、伐採や植林などの現場で即戦力となる外国人材を受け入れられる仕組みとして注目されています。
本記事では、特定技能「林業」における対象業務、受け入れ要件、採用手続き、費用、そして注意点までをわかりやすく解説します。

合同会社エドミール 代表社員
武藤 拓矢
2018年に外国人採用領域の大手企業に入社し、技能実習・特定技能・技人国の全領域に携わる。のべ700名以上の採用支援実績をもとに、登録支援機関「合同会社エドミール」を設立。2025年には4つの商工会議所で「外国人活用セミナー」の講師を務める。
武藤 拓矢のプロフィール特定技能制度とは?
特定技能制度は、深刻な人手不足が生じている産業分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れるために2019年に創設された在留資格制度です。現在、16の産業分野が指定されており、2024年3月29日には新たに「林業分野」が追加されました。
林業分野が対象に追加された背景には、深刻な労働力不足があります。昭和55年には約14万人いた林業従事者が令和2年には約4万人まで減少し、高齢化も進んでいるため、若年層を含む新たな担い手の確保が重要になっています。
特定技能「林業」で従事可能な業務
特定技能「林業」の対象業務は、育林、素材生産、林業用種苗の育成、原木生産を含む製炭作業の4区分です。
- 育林(植林、下刈り、間伐などの森林を育てる作業)
- 素材生産(立木の伐採や丸太の造材、集材・運搬などの作業)
- 林業用種苗の育成(苗木を育てる育苗作業)
- 原木生産を含む製炭作業(木炭の原料となる原木の生産と製炭)
各区分に関連する周辺作業にも付随的に従事できます。
受け入れに必要な要件(技能・日本語)
受け入れには外国人本人の技能試験・日本語要件に加え、受け入れ機関が林業特定技能・育成就労協議会へ加入するなど独自の基準を満たす必要があります。
外国人本人に求められる要件
- 林業技能測定試験の合格
- 日本語能力試験(JLPT N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格
- 受け入れ機関とのフルタイムの雇用契約(報酬額などが特定技能雇用契約の基準を満たすこと)
受け入れ機関(企業側)に求められる要件
- 林業特定技能・育成就労協議会への加入と、農林水産省・協議会への必要な協力
- 法令に基づく支援計画の策定・実施
- 労働基準法など関係法令の遵守
特定技能林業の導入・受け入れの流れ
特定技能「林業」の受け入れは、候補者の要件確認から就労開始後の支援・届出まで、次の6段階で進めます。海外から呼び寄せる場合と日本国内の在留者を採用する場合では在留申請の種類が異なるため、候補者の居住地と現在の在留資格を最初に確認することが重要です。
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候補者の要件と担当業務を確認する
林業技能測定試験と日本語試験の合格状況、または技能実習2号の良好修了などによる試験免除の可否を確認します。採用後に担当させる業務が、林業分野の対象業務に含まれることも照合します。
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雇用契約を結び、1号特定技能外国人支援計画を作る
報酬・労働時間・業務内容などを記載した雇用条件を、本人が理解できる言語で説明して契約します。自社で義務的支援を実施できない場合は登録支援機関へ委託し、在留申請前に支援計画の作成、事前ガイダンス、健康診断を済ませます。
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林業特定技能・育成就労協議会へ加入する
受け入れ機関は、出入国在留管理庁へ在留諸申請を行う前に協議会への加入を終え、加入通知書を受け取る必要があります。育林・素材生産を行う事業者は、認定事業主など林業分野独自の加入要件も確認します。
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必要書類をそろえて在留申請を行う
海外在住者を呼び寄せる場合は在留資格認定証明書(COE)の交付を申請し、日本国内の在留者を採用する場合は在留資格変更許可を申請します。申請人・受け入れ機関・林業分野に関する書類に加え、雇用契約書、支援計画、協議会の加入通知書などを準備します。
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査証取得または在留資格変更後に就労を開始する
海外在住者はCOE交付後に在外公館で査証を申請し、入国手続きを経て就労を始めます。日本国内の在留者は在留資格変更の許可を受けてから、特定技能「林業」の業務を開始します。
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生活支援・安全教育・届出を継続する
入国時の送迎、生活オリエンテーション、住居や行政手続きの支援、定期面談など、支援計画に定めた支援を実施します。雇用開始後も安全教育と就労状況の確認を続け、受け入れ・支援の実施状況や契約変更などを所定の時期に届け出ます。
協議会の加入確認や在留申請の書類収集には時間がかかるため、採用予定日から逆算して並行準備を進めましょう。最新の加入方法は林野庁の協議会案内、在留申請の区分や提出書類は出入国在留管理庁の受け入れ機関向け案内で確認できます。
自社での支援体制づくりや登録支援機関への委託を検討している方は、特定技能「林業」の受け入れ支援についてお問い合わせください。
求人票作成・面接時の注意点
求人票や面接では、以下の点に注意が必要です:
- 職務内容を明確に記載(例:植林作業、伐採作業など)
- 給与・休日・時間外労働の条件を明示
- 国籍・性別による制限表現を避ける
- 安全教育体制・研修制度の有無も記載すると好印象
面接時には、日本語理解度や技術的な適性、健康状態なども確認し、業務適合性を慎重に判断します。
特定技能・林業を活用する際に発生する費用
1人あたりの目安は、国内在住者を採用する場合は初期費用22〜44万円、海外から採用する場合は初期費用27〜114万円です。登録支援機関へ支援を委託する場合は、受け入れ後に月額1.5〜4万円程度が加わります。
| 費用が発生する場面 | 1人あたりの費用目安 |
|---|---|
| 国内在住者を採用 |
初期費用 22〜44万円 人材紹介、在留資格の変更、採用時の手続きなど |
| 海外から採用 |
初期費用 27〜114万円 人材紹介、申請支援、送り出し手数料、渡航・住居準備など |
| 受け入れ後の支援 |
月額 1.5〜4万円 生活支援、定期面談、相談対応など。自社支援の場合は委託費なし |
上記は給与や社会保険料を除いた目安です。採用ルート、候補者の居住地、依頼する支援内容によって金額は変わるため、詳しい内訳は特定技能外国人の受け入れ費用相場もあわせてご確認ください。
見積もりで確認したい3つのポイント
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初期費用と月額費用を分ける
紹介手数料や渡航・住居準備は採用時、支援委託費や社内担当者の稼働は受け入れ後も継続して発生します。
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公的手数料と外部委託費を分ける
申請そのものの手数料と、行政書士・登録支援機関などへ支払う報酬を混同しないようにします。
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見積もりに含まれない費用を確認する
翻訳、送迎、緊急時の通訳、在留期間更新、早期退職時の対応が別料金かどうかも比較します。
登録支援機関や人材紹介会社によって料金体系と対応範囲は異なります。少なくとも2〜3社から同じ条件で見積もりを取り、総額だけでなく支援内容と追加料金の条件まで比較しましょう。
なお、林業特定技能・育成就労協議会の入会費・年会費はかかりません。在留手続きや義務的支援の費用負担は、出入国在留管理庁の特定技能制度Q&Aで最新情報を確認してください。
特定技能・林業を活用する上での注意点
特定技能「林業」の活用では、業務区分外の作業をさせられないことや、労働災害リスクの高さに応じた安全管理が求められる点に注意が必要です。
- 主たる業務として従事させられるのは、育林、素材生産、林業用種苗の育成、原木生産を含む製炭作業の4区分です。関連する周辺作業は付随的に行う場合に限られます
- 林業は労働災害リスクが高い分野であり、受け入れ機関には安全衛生に関する体制整備が求められます
- 特定技能1号には転籍(同分野内での転職)が認められており、定着のためには待遇・労働環境の整備が欠かせません
- 受け入れ機関は林業特定技能・育成就労協議会への加入後も、協議会や農林水産省から求められる報告、資料提出、現地調査などに協力する必要があります
- 林業は天候や季節によって稼働状況が変わりやすく、繁閑差を踏まえた業務計画が求められます
受け入れ後も要件充足や支援体制を継続的に見直し、法令・協議会の基準に沿った運用を続けることが重要です。
特定技能「林業」に関するよくある質問
- 特定技能「林業」ではどんな作業ができますか?
- 育林、素材生産、林業用種苗の育成、原木生産を含む製炭作業の4区分が対象です。各区分に関連する周辺作業には、付随的に従事できる場合があります。
- 技能試験はどこで受験できますか?
- 林業技能測定試験は日本国内および一部の海外拠点でも実施予定です。詳細は林野庁や出入国在留管理庁の情報をご確認ください。
- 日本語能力はどの程度必要ですか?
- JLPT N4以上、またはJFT-Basicの合格が必須です。現場での安全指示や日常生活の理解のため、最低限の日本語力が求められます。
- 特定技能で働ける期間は?
- 「特定技能1号」で在留できる期間は通算で上限5年です。引き続き働く場合は、付与された在留期間に応じて在留期間更新の手続きが必要です。
- 企業が行うべき支援には何がありますか?
- 住居の手配、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、定期面談など、法定の支援10項目を実施する必要があります。
特定技能「林業」まとめ
林業分野における特定技能制度は、2024年から本格運用が始まり、今後の人材戦略に欠かせない選択肢となります。
安全・品質を維持しつつ、持続可能な森林管理体制を構築するためには、適切な外国人材の採用と育成がカギです。早期の情報収集と体制整備によって、先行導入企業との差別化を図りましょう。

